№4336 「塔」昇欄の無惨~詠み手より読み手~

 今、短歌がブームだと一部では騒がれているが、それはまったくもって脆弱なものでしかない。ブームだブームだと言われているのに、肝心の結社に所属する歌人の人口はどんどん減っていて、どこもかしこも高齢化を嘆く声ばかりだ。短歌ブームとは言い条、インターネットしか発表のツールを求めない自称歌人は、電脳世界で完結してしまい、決して結社という公的な場に出て来ようとは思わないだろう。彼らのうち、近代短歌、現代短…

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№4335 「塔」九月号・陽の当たらない名歌選1~寂しさと鬱陶しさ~

      「塔」九月号・陽の当たらない名歌選1 姓と名のほかには何も書いてない名刺を置きて孫 東へ下る 林田幸子 水張田にさざ波よせて二番目にさびしい道を選んで帰る 上澄 眠 後出しは勝ったときだけ責められて好きになったら負けって嘘だ 鈴木晴香 父のいた病室の前通る時母は「あなた」と小さく呟く 石井久美子 船は沈む、飛行機は堕ちると言う夫が朝晩出かけるネコの餌やり 大森千里 …

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№4334 ベランダから見えるケヤキに祈る

 今この日本には、100歳以上の老人、おっと間違えた、高齢者が9まん2せんにんもいるのだという。10年後にはこれが30万人はいくだろう。何はともあれ長寿はめでたい。長く生きたということは、それなりの苦悩と苦痛を抱え込み、なおかつ生きたということで、僕はそのことに敬意を表したい。  ところで、僕は生まれてこのかた何十年というもの、自然科学、とりわけ植物というものにまったく全然興味を持ったこと…

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