№4907 「短歌人」12月号・会員欄秀歌選その248

      「短歌人」12月号・会員欄秀歌選その248

今日ひと日何匹の犬と会えるかと張り合うわれらがむさぼる平和 加藤晶子
駄菓子屋の跡地にできたコンビニで小学生が弁当を買う 澤田典子
花火消え燃えがらの匂いによみがえる金魚の柄の浴衣のわれが 杉江陽子

大魔神のようなる雲がいつのまにカネゴンとなり秋空に消ゆ 岩田真珠美
穏やかな夫の寝息を聞きながら施設の窓より手賀沼ながむ 高橋寿美子
鼻水は涙の余り目だけでは流しきれない水があること 本間美保
スーパーにひとりで来てる爺たちの後ろ姿が同じに見える 水瀬ひつじ
死にし牛に花が手向けられてゐるやさしき牧場で働き始める 木村英恵
強すぎる咳はあばらを折るといふ胃液まじりの咳、抑えね、ば 川上幸子
その雨はアスファルトへと滲みいって太古の人の匂いだきっと 七海帆風
月にして二万円もの漢方を続けているなどなかなか言えぬ 栄田一平
救急のサイレンに耳を尖らせて方角を探る癖が残れり 石井綾乃
眠れない夢を見ていただけなんだ、と言い聞かせながら仕事に向かう 小笠原啓太
落ち着いた加賀美幸子の声で聴く百人一首が入眠の友 谷たか子
朝の四時寝室の窓にドンとぶつかり「カー」とひと声間抜けなカラス 丹呉ますみ
どこまでも歩ける足があるならば年とることも怖くはないが 紺野みつえ
若き日のように傷つくこともなく血の滲みたる小指舐めおり 秦 麻美
斃れ伏す恐竜の骨拾うかにハウスをばらすおそらくは冬 弓 廣
はじかれしトマト熟して赤き山隠すがごとくに草を捨ており 弓 廣
「兄ちやん」と呼びてみるのも今日かぎり遠き茨城よりお別れをする 藤原眞理子
林檎ケーキ焼けばたちまち平らげしどの子もおらねば今日も残りぬ 松平多美子

https://www.youtube.com/watch?v=NTwtOC7JMZ8

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