№4906 しろばんば

     しろばんば   黑田英雄

人類がごきぶり嫌ひ止めたなら戦(いくさ)は消ゆると真面目(マジ)にわれ思(も)ふ

生きるとはマネーの流れ激しい流れもう死にたいと迎へし朝も

見上ぐればかすみ雲の膜禁煙の日から余生とふかあく息吸ふ

『野良犬』と『二十四の瞳』夏にこそ観つめむ昭和の汗と涙を

かつて株語りし母の唇の紅にも似たる夕陽に染まる

背(そびら)より吹く北風(かぜ)首にうけとめてうつむきし母の頂の白しも

名刺持たぬ一生できつと了へるらむ名刺受け取りほほゑみ返せば

司葉子、星由里子姉妹の微笑みにゆふべすがりて『女の座』観る

生活とは逝くまでつづきて液晶の麻丘めぐみの笑顔直視す

第一歌集編むこともなく逝きにしひと阿部美佳の歌泛かび北風(かぜ)浴ぶ

歌詠みて季折折の風浴びて敗戦処理の残生歩まむ

叔母への思慕切なきなみだ『しろばんば』芦川いづみの瞳の湖(うみ)よ

紀伊國屋エスカレータ前待ち合せに佇むひとのもうあらなくに

はしやぎたる園児ら見つめ後八十年は生きてゆくのか ぞつとした

総裁選伊東市議選無駄ばかり見せつけられて熱波にうたれて

積極財政高市早苗好めども右傾けば日の本沈まむ

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