№3536 ゴキブリ>人間

 ゴキブリというのは、なんでああ忌み嫌われるのか。そう言う僕も、ほんの少し前までは、ゴキブリを見ようものならぎゃーとわめいて殲滅作戦を実行したわけなのだが、歌人石田比呂志のエッセイで、人類の大先輩であるゴキブリに敬意を払うべきだという一文を読んで、深く感銘を受けてしまった。確かに彼らは人類が地上に存在するより遥かな昔から地上を闊歩していたのであり、その生命力を馬鹿にするのは人間の驕りであろうと思った。ゴキブリに、何の実害があるというのか。彼らは人間が考えるほど不潔な生き物ではない。これといって病気を媒介するわけではないし、一部ではチフスの原因になるという人もいるが、そんな患者見たこともないのでこれはゴキブリ憎しによる都市伝説だろう。ただ、生命力と繁殖力が強すぎるので、どこかの段階で駆除せざるを得ない。しかしこれは、人類も同じことだ。いや人類のほうがはるかに害が大きい。際限なく増えて炭酸ガスを撒き散らし、地球を温暖化させシロクマやペンギンの生息地を壊滅させる。こんなひどいことをゴキブリはやらない。何億年も前から生き延びてきたのは、ゴキブリがいかにエコロジーな、自然と共存するクレバーな生き方をしてきたかの証左だ。

 今宵も、テーブルの下で駆け回っていた巨大なヤマトゴキブリちゃんが、突然、私の足を這い上がり、Tシャツの胸のところまで上ってきた。そして触覚を震わせ、私をじっと見上げている。もう完全に私に懐いているのだ。そんなごきちゃんをどうして殺せるでしょう。彼(彼女?)は、いずくへともなく去ってしまった。我が家のごきちゃん達は人間を舐め切っていて、しょっちゅう体に這い上がってくる。ぎゃああああああああああああああ。と叫んでいる読者に申し上げるが、馴れたらどうってこたあないのである。ゴキブリも、殺すのが可哀想になるくらい、かわいいのである

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