№2161 私は表彰されるべし~私だけの記録18~

 「短歌人」掲載の八木博信のエッセイ「スピーチタイム」が実に面白い。ちょっと古いが、去年の10月号の「鉄扉」には笑ってしまった。

 八木氏は、「短歌ってすごいねえ、ここまで描けるんだねえ」と感動している、短歌とは普段縁もゆかりもない知人にせまられたわけなのである。一般社会で歌人が歌集を読んだとか歌集を買ったとかいう人に会うのは、宇宙連合の会議場で地球人に会うほどのレアケースでありよろこびである(大意。爆)と八木氏は思ったのだが、その知人が感動した歌集というのが道浦母都子の「無援の叙情」。30年以上前の歌集だ。

 道浦母都子氏の業績を否定するものではないが、すでに評価が定まり、時代(業界内部での)は批判やら相対化やらの過程をとっくに終えているものにパンピーが感動している、そのことを見るくらい脱力することはない。短歌なんて所詮その程度にしか認知されてないのである。いや、過剰なまでに認知されていないと言うべきか。歌詠みは宇宙連合における地球人と言うより、地球における宇宙人のようである。たまに認知されることがあってもグレイタイプという十年百日な姿であり、実物を見た者は誰もいない。

 もう一つ不思議なのは、今まで一度も、視聴率の機械をとりつけたモニターの家庭の人に会ったことがないということだ。僕だけではなく、今までの知人友人も全て、会ったことがないという。歌人と視聴率モニターと幽霊の中で一番会える確率が高いのはどれなんだろうか。歌と関係ない人が当ブログをけっこう読んでくれているみたいで、それだけでも歌壇は黒田英雄を表彰すべきであろう(笑)。金一封と、増富温泉無料宿泊券くらい送ってきてもバチは当たるまい。八木氏のそれのように、面白い短歌エッセイがもっともっと出て来たらなあと思う。とにかく、歌人のエッセイというのはおしなべてつまらんのが多すぎるのだから。

      一月再生マイビデオ

 1日「簪(かんざし)」(昭和16年、松竹、清水宏)
 2日「未亡人下宿初濡らし」(制作年不詳、現代映像=にっかつ、山本晋也)
12日「沓掛時次郎・遊侠一匹」(1966年、東映、加藤泰)
15日「次郎長三国志・海道一の暴れん坊」(昭和29年、東宝、マキノ雅弘)
19日「家族ゲーム」(1983年、にっかつ撮影所=ニューセンチュリープロデューサーズ=ATG 森田芳光 松田優作、宮川一朗太、伊丹十三、由紀さおり、戸川純、加藤善博、伊藤克信他)
23日「母娘監禁牝」(1987年、メリエス=にっかつ、斎藤水丸)
27日「女高生天使のはらわた」(1978年、日活、曽根中生)
28日「ラブホテル」(1985年、ディレクターズカンパニー=にっかつ、相米慎二)

この記事へのコメント

  • 結社ひとり

    私は未だに短歌やってる人とリアルで遭遇したことはありません。ネツトがなければ歌壇も短歌結社も知りませんでした。そもそも「歌壇」という言葉は文壇をもじって新聞などが投稿欄の名前として使ってるものと思ってました。結社は秘密結社以外の用法は知りませんでした。
    2013年02月01日 00:49
  • るんるん

    「無援の抒情」は、三十年経ったからといって評価が決まったわけではないでしょう。百年のちの評価を待ちたいものです。
    歌人は一般社会では知らない人がほとんどです。知名度はゼロに等しい。それなのに歌壇内部で少しだけ有名になってものすごく思い上がる人をさんざん見てきました。いったい何様のつもりなのかと呆れるような人もけっこういます。私は短歌は好きですが、歌人も歌壇も嫌いです。
    2013年02月01日 14:03
  • 歌と関係ない人が当ブログをけっこう読んでくれているみたいで、それだけでも歌壇は黒田英雄を表彰すべきであろう(笑)。金一封と、増富温泉無料宿泊券くらい送ってきてもバチは当たるまい。

    歌と関係ない事を書かなければ読まないのでは?
    金一封、誰かくれると良いですね!
    罰は当たらないでしょう!
    勿論、冗談とは分かってますよ(≧∇≦)
    2013年02月01日 20:37
  • 草餅みどり

    なんだかんだいって、皆、黒田さんのブログおもしろがって読んでますからね。
    入院された時以外、休載がなく、ずっと続いているのもすごいことです。だいたい、しばらく休みますってなるブログも多い。
    また食べ物の写真とか載せてるブログも多いですが、文章や話題を考える能力がないんだなあと思います。黒田さんのように、話題を自分で考えないと。
    2013年02月01日 20:49
  • 結社ひとり

    文意は十分に汲み取れていませんが、八木氏は知人が「無援の叙情」をくだらないとか面白くないと言ったら、取り上げたでしょうか。取り上げたとして、やっぱり短歌はパンピーには無理だとか、わからないといった定番の自己防衛評にならなかったでしょうか。

    歌壇というより結社がダメなのは、黒田英雄のような人間を使いこなす能力がないからです。しっかりした組織ほど個人プレーを嫌います。しかし短歌は個人プレーの最たるものです。
    2013年02月01日 21:48
  • ゆふ

    確かに結社と書いてからあたふた説明するよ。うちの集合住宅の回り当番が「組長」あたふた!
    2013年02月01日 22:19
  • ひでお

    >結社ひとり様
     僕なんか、歌壇という言葉すら知りませんでしたよ。まあ、短歌を知ったのはいいことだとは思っていますが。
    >るんるん様
     歌壇内でえばる奴って滑稽ですよ。滑稽が服を着てぞろぞろ歩いています。好きな歌人というのは有名無名を問わず、各個人が選ぶものであって、僕には歌壇の格というものが全然理解できません。だって、何度読んだってつまんねえ歌が巻頭歌になったりするんだもん。
    >無記名様
     >歌と関係ない事を書かなければ読まないのでは
     否定の否定の否定でつまり否定文ですか、これ?
    >草餅みどり様
     鋭い。好き勝手を書いているように見えて、私はエンターテインメントを心がけています。その上で、アクセス数というのをすごく重視しています。アクセス数の集まらないテーマの日記は書かないようにしています。ネット住民も、もうちょっと読み手のことを考えて娯楽性というものを持たないとだめですね。
    >再び結社ひとり様
     鋭い(笑)。私ほどの傑出した人間を、なぜ結社はレギュラー担当に抜擢しないのか!まあ好きなこと書いて読者を喜ばせるけどね。その代わり、問題が起きるのも必至。とにかく、田中雅子の傑作歌集「令月」を黙殺するような歌壇のありように僕は激怒するのであります。
    >ゆふ様
     隣組というくらいだから組長でいいのです。
    2013年02月02日 00:05
  • 一読者

    黒田さんのブログは、文章も内容も面白いです。つい自分も触発されて色々と考えてしまいます。ほぼ毎日見に来ていますが、中毒的ですらあります(笑) これからも更新楽しみにしています。
    2013年02月02日 22:14
  • ひでお

    本当は、僕ごときのブログがこんなにアクセス数を集めてはいけないのです。日本は、スポーツも小説もエッセイも歌も、喜劇も野球も、本当に面白くないです。
    2013年02月03日 23:20
  • 草餅みどり

    上のコメント、日本は何もかも面白くない、賛同します。
    日本人は自ら努力をせず、他人を羨んだり妬んだり僻んだりするしか能がないからでしょうね。それで、他人を貶めて自らの優劣を確認するしかないわけです。
    ちなみに、黒田さんにひとつだけ聞きたいことがあります。この、草餅みどりというペンネーム出来は如何でしょう。
    私は結構気に入っています。短歌もこのペンネームで出したいくらいです。
    2013年02月04日 00:12
  • ひでお

    とってもおいしそうな名前でいいんじゃないでしょうか。印象に残ります。日本人については当ブログでいろいろ批判してますが、中国のことを考えたら全然ましなだと思います。
    2013年02月04日 23:32
  • ゆふ

    黒田さんなら誰か判ると思うけど性が合うかはわからない。私より若い時に年上の人に何か言って、「あなたのように若い人にはわからない」って言われたそうです。ケイタイ短歌の時に司会から「ボスなんですよね」「長くやってるだけでそういうものではないです。」ただ目力だけで怖かったな。でも、曲げられなかったら言うと思うけど。眠いので以上
    2013年02月11日 00:16

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