№3022 「かりん」は伸びるべし

 僕は、歌を作れば作るほど、この韻律は女性のための文学だと実感している。この韻律で対抗しようと思う男はいないだろう。なぜなら、男は基本的に社会的により高い存在だと見做されているからだ。女性はそうは行かない。彼女らの社会的地位など、未だほとんど無いに等しい。そういう恨み辛みを晴らす文芸こそが短歌なのではないか、と僕は思うのだ。名歌選・秀歌選をやっていて、男性歌人より全然女性歌人の作品のほうがいい。…

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№3021 「塔」1月号・陽の当たらない名歌選2~無言の威圧~

      「塔」1月号・陽の当たらない名歌選2 変はりゆく我と知らず流れゆく景色が変はると思ひていたり 加茂直樹 目覚ても自分は自分でしかなくて口の渇きが今日のリアルだ 山口 蓮 手裏剣と思って避けたひとことが遠ざかるほど鮮やかになる 高松紗都子 自転車を強く踏み出し少年は追いかける猫をふり向かざりき 石田俊子 家蜘蛛のちひさく動き鍵穴をゆづりてくれし 夕暮れ近づく 工藤博子…

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№3020 みみ太のお骨

 一月二十日早朝、黒田みみ太逝去。十二歳と二ヶ月だった。この日の最高温度は3・7度。今冬一番の寒い朝にみみ太は逝ったのだ。朝、妻が目覚めてクローゼットに寝ていたみみ太を揺すってみたところ、いつもならなんとか顔を持ち上げて反応するのに、その頭を持ち上げてもがっくりと床に落ちる。死後硬直は始まっていなかったので、おそらく未明に逝ったのだろう。僕は悲しみよりも、正直安堵を感じた。二週間に及ぶみみ太の看…

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