№2789 岸旗江と和泉雅子~私だけの記録47~

 古い日記の後読みを読んでいて、久々に思い出す日記があった。昭和29年制作の「太陽のない街」で女給役をやっていた当時の大スター岸旗江の胸を客がもみしだくシーンに僕は驚いたという内容だ。リアリスト山本薩夫だから、あえてこういうシーンを撮ったんだろうが、当時の岸ファンはショックではなかっただろうか。たとえば、僕がガキのころ若大将加山雄三の大ファンだったが、彼のデビュー作「男対男」がテレビ放映されたと…

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№2788 原節子逝く~驟雨~

 原節子が亡くなった。実家の離れで独り暮らししていたそうだが、大往生と言っていいだろう。高峰秀子と原節子の死をもって、日本映画界というものは完全に死滅したと僕は思う。それほどこの二人は大女優だった。原節子の美しさについて多く語られているが、考えてみれば、彼女の美の絶頂は戦時中だった。ナチと合作で作った国策映画「新しき土」に出演したことを彼女が恥じていたという文章が今でも心に残っている。所蔵するマ…

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№2787「塔」11月号・陽の当たらない名歌選2~黒髪と櫂~

      「塔」11月号・陽の当たらない名歌選2 髪のつやが波であることたしかめる指はいつしか櫂になりゆく 小田桐 夕 遠雷が蝉しぐれの中きこえくる緩んだ髪をもいちど括る 宮内ちさと 七十年だれも殺さず生きてきた八月十五日の蝉しぐれ 木原純子 夫のうつ寝返りに朝を目覚めたりかくもささやか幸せなんて 山口小夜子 あたたかな闇が満ちればもう何も観なくてもいい早稲田松竹 小松 岬 …

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