№1843 岸旗江

      岸旗江      黒田英雄 新しき宿をちぢめて新宿と名付けしひとの希ひを憶ふ 点滴をしたままソープに通ふひしとふジジィ伝説歌舞伎町にあり 手術終へ真夜の辛苦に何故か顕つ大村崑のとんま天狗よ 恐らくは荷風のごとく血を吐きて伏して死すらむ看取る者なく 潦に燈の丸白く泛かびゐて山中貞雄の骸いづこに 農耕馬(あを)に似てまなこ優しく大陸にいざ殺めよと牽(ひ…

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№1842 私だけの記録

 6月22日から日本は夏に入った。台風六号が去って少し涼しくなったとはいえ、やはり蒸し暑い。ただ、僕の体は絶好調だ。夏場はとにかく肺が苦しくない。春や梅雨時期のほうが右肺が詰まって苦しかったが、梅雨明けと同時に楽ちんちんだ。そのせいかもしれないが、俺の下半身は18歳の朝である。  それにしても、このクソ暑いのに、地デジ移行でえらい苦労した。七月十一日にヨドバシカメラで液晶テレビを購入し、え…

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№1841 ロングショットの痛み~うどんとつゆ~

 韻律の魅力はたくさんあるが、一番のそれは、この三十一文字の中から強烈な映像が立ち上がってくるというものであり、それは短歌ならではの迫力で読者に迫ってくる。悲しいかな、短歌は悲しい映像ほどよく似合う器なのかもしれない。 家捨てて走る車をどこまでも追ひ来る犬に涙とどまらず 大平 洋  読んだときの衝撃と悲しさを忘れようと思ってもどうしても頭にこびりついて離れない。言葉よりも、その場面(…

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