№1366 傘

              傘         黒田英雄 私生活いつさい表に出さずして演ずる喜劇役者を観たい 上を向いたら限(きり)がない下を向いたら後がない泣いてたまるか 田中雅子美(は)しき名をもつうたびとの歌集ひらけば東風(こち)の吹き入る 黒白のみみ太は今夜もしみじみと古新聞に箱つくり寝る 「海の家」のアルバイトの青年がつくつたやうなラーメン食はせろ …

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№1365 世田谷文学館ライブラリー

 「心の花」7月号を読む。「年鑑選者賞」という発表があった。この賞は、選者が自分のとこに送られた短歌の中でベストと思った歌を顕彰する賞だ。これは実にいい賞だと思う。会員にとっても励みになるし、また、いい連作ないしは作品をクローズアップするという企画は素晴らしい。これは、「心の花」ではなく、各結社誌とも実施していただきたい。  どれも力作揃いだが、やはり、東恵理の、猿を詠った連作が抜群にいい。僕…

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№1364 “貫禄のある美貌”の狂気

 「忍びの者」で、市川雷蔵や伊藤雄之助をほめたが、もう一人ものすごい役者がいる。城健三朗こと若山富三郎である。彼は一時、名前を変えていた。脇役だが、彼の演じる織田信長は、残虐非道の狂人そのものであり、まさに絶品であった。若山富三郎は、新東宝の、加藤泰によるお子様映画「忍術地雷也」と「逆襲大蛇丸」(ビデオ保有・超貴重版)でデビューした。加藤監督は、「繊細な二枚目俳優が来る」と聞いていたので、期待し…

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